「さて、みんな集まったし、これからどうするんすか?」
「あのじいさんが指令を出すって言ってたんだが…まさかこの場で寝て夢を見ろって訳じゃないよな…」
「あのおじいさん、滅茶苦茶だから案外有るかもしれないですよ」
宮川くんの答えに一同、不安がよぎる。まさかな…
その時、高橋さんの携帯が不意になる。♪♪♪~~
「誰だろ?」
高橋さんは携帯を取り出し、開いた瞬間ギョッとした。
「じ…じいさんだ!」
「うそっ!?」
一同はこぞって高橋さんの携帯電話を覗き込む。そこには液晶に堂々と何ヶ月も見飽きた老人の顔が映し出されていた。
「TV電話かっ?」
「違うわ、普通の待ち受け画面みたいよ」
宮川くんが指摘する。確かに高橋さんが電源ボタンを押そうが、その老人は消える事がなかった。試しに長押しもしてみたが、電源すら切れなかった。
「やぁ。ついに集まった様じゃの」
その老人は微笑みながら話し掛けてきた。
「これからお前らに指令を出す」
「ど、どうなってるんだ」
「ここまでいくとホラーっす」
高橋さんと石川くんはまだ事態が飲み込めないでいる。
「便利になったわねぇ…どこまで進化していくんだい」
茂子は完全に蚊帳の外だ。
「しっ!静かに」
宮川くんは冷静だった。
「ここから電車で二駅目に栄町という町がある。そこには町の宝として勇者の剣が奉ってあるのじゃ。その剣を手にしろ。でないとお前らに勝ち目はない」
「なんか普通にロープレみたいになってきたっすね!」
「ワシからの通達は以上じゃ。心して行くが良い」
そう言うと老人は画面から消え、いつもの待ち受け画面に切り替わってしまった。
「勇者の…剣?」
「母さん、聞いたことあるかい?」
「私ゃ知らないね」
「そうか…よし、とりあえず栄町に行ってみよう!何か分かるかもしれない」
「そうっすね!」
一行は電車に乗るべく、駅へと入って行った。