「お待たせしました」
中から毛皮のコートとミニスカート、高級バッグを肩から提げ、大きなサングラスを付けた女性が姿を現した。
「…誰?」
「わかんないっす」
その女性はサングラスを外すと、やはり宮川くんだった。
「待ちました?」
「待ちました?じゃないよ!なんだその格好は!これから旅に出るんだぞ?」
「お洒落に手抜きなし。我が家の教訓ですの」
「にしても、これはひどい。逆に目立ちまくりじゃないか!」
「そうっすよ!ヤバいっすよ!」
石川くんも加勢する。
すると宮川くんは石川くんをキッと睨み、
「何よ、あんたみたいなドブネズミみたいな格好もヒドいじゃない?」
「なんだと!お高くとまってんじゃねぇよ!乳無いくせに」
「なんですって!セクハラよ!今すぐ訴えてやる!」
「やめな!!」
いきなり背後からの大声に一同は振り向くと、茂子が憤怒の形相で立っていた。
「こんな所で仲間割れしてどうすんの!大体義男、あんたリーダーでしょ?しっかりまとめな!」
高橋さんはこの叱咤で我に返る。
「と、とりあえずみんな武器何を持ってきた?」
「僕はこれっす」
石川くんは懐から銃を取り出した。
「石川くん、君なんでそんなもの所持してるんだい…?」
「これはエアガンっすよ。小さい頃に遊んでたの思い出して持ってきました」
「…そうだったのか」
「これ、意外と威力あるんすよ」
「私はこれです」
宮川くんはムダ毛処理用のカミソリ。
「切れ味は抜群です」
「先輩は?」
「僕はオヤジが昔使ってた木刀」
「私はお父さんのゴルフクラブを持ってきたよ」
と茂子も自慢気に言い放つ。
「これで準備万端っすね!」
「楽しみだわ」
「私もまだ若いからね。暴れ回ってやるよ」
かなり不安になったのは高橋さんだけだったのだろうか…。