「なんですか、先輩?話って」
「手短にお願いします。私この後用事があるので」
駅前の居酒屋。勤務上がりである。いつもの賑わいを見せる大衆酒場で、真顔で酒を啜る三人がいた。一日中、高橋さんは迷った。自分の母親が仲間っぽいということを、同胞達に打ち明けようか。出来ればこの事実をもみ消したかった。母親を心配する気持ちと、この歳になって母親と共に行動しなければならない羞恥心が交錯し、叫びだしたい気持ちだった。