「あぁ、ここだとそこの筋を
がーっと行ってな、3つめの角を
西に行って、ぼーんとでっかい家が
あるから、その辺やと思うわ。一緒に行ったろか?」

その、筋を西????
え?
なんのことだろう?
手振りを見てると、左に曲がるって事
なのかな?

「え??一緒には、大丈夫です。
1人で行けますのでっ!ありがとうございました!」
駆け出す様に、言われた道を歩いた。
1人で行かないと、挨拶の言葉も考えられないし
写真も撮れない。

空は、突き抜ける様に青く
日光は、私の白い肌をジリジリと焦がす。
汗まみれになりながら、3つめの角を曲がる。

えーっと・・・

私の住んでる都内とは、大きく掛け離れている
町並み。
下町風の、のどかな風景が広がっている。
どこの家からも、高校野球放送が聞こえる。
時折、ちりんと風鈴の音がして、少し気持ちが
引き締まる。

その下街風味の中でも、取り立てて立派な門の
ある家がある。
しかも、そうとうデカイ!
住所も合っている。
もしかして、この家?!

「八尾」

表札に書いてある。
戸籍を取り出す。
住所も名前も同じだった。

はちおさんでいいのかな?

うわ。
どうしよう。
何て言えばいいんだろう・・・。

場所はわかったから、コンビニでも探して
少し歩いて考えよう。
そう決めて、通りをふらふらと歩きながら
コンビニを探した。