「それでよーし! んじゃ次は俺の試合、見に来てよ」 「うんっ」 波乱の球技大会の幕開けは、これからだったり、した。 「…何、あれ。 ちょっと、いいの?」 「いいわけないじゃん。何、あいつ」 「許せないよねー」 「たしか前に忠告したよね」 「でも、それはさ…」 私たちを見つめる視線に気付かなかった。 いや、気付けなかった。 私の目が、気持ちがあまりにも淳哉くんに向いていたから。 隣にいる淳哉くんを近くに感じていたから。 遠くを感じていなかったんだ。