ぼくは「くま」。
くまのぬいぐるみ。
白い体で、黄色のTシャツを着ている。
でも、この服、ちょっと短いから、
おしりが出てるんだ。
夏はいいけど、冬はちょっと寒い。

ぼくの“飼い主”は、にーちゃん。
大人の男の人なのに、なぜかくま好き。
ぼくを手に取って、すぐに買ってくれたんだ。
ぼくの仲間をそろえてくれるみたいだけど、
いつになることやら。

そのにーちゃんの彼女の、ねーちゃん。
ねーちゃんはぬいぐるみが好きらしく、
ぼくのことをかわいがってくれる。
時には、にーちゃんそっちのけで
ぼくと遊んでくれるので、
にーちゃんが“シット”してる。
「俺とくま、どっちが大事なんだよ」だって。
ねーちゃんにとって、いちばん大事な存在が
にーちゃんだということは、
ぼくもよく知っている。

ぼくは「くま」。
くまのぬいぐるみ。
だから、話もできないし、歩くこともできない。
にーちゃんやねーちゃんと
たくさんおはなししたい。
だけど、…そんなこと、できっこないよね。