笑顔 -電車での出逢い-


『まだ…好きになりかけてるだけだって思うから…早く忘れたくて…』

私がそう言うと香菜実は心配そうに私をみて

「本当にいいの?」

と聞いてきた…

私は何も言わずにただ頷いた…

そんな私にまたも心配そうな視線を向け

「後悔しても知らないから…」

ポツリとそう言ってメールを打ち始めた…

後悔ならしてるよ…

なんでよりによって

彼女が居る人を好きになったんだろう?って…

いつも後悔してる…

出逢わなきゃ良かったって…

見かけなきゃ良かったって…

あの時間帯の電車に乗らなきゃ良かったって…

大丈夫だよ…

まだ大丈夫…

気づいたばかりの薄い気持ちならいくらでも

塗りつぶすことができる

彼へと向かう気持ちが見えなくなるくらいに…

濃く濃く塗って…

もう2度と気づかないようにするんだ…