笑顔 -電車での出逢い-


俺もマコトに続いて何も言わずに

元居た席に座り直す。

『信吾の奴…そんなに彼女が欲しいのか?』

ボソッと呟くように言うと

「いや,あいつは彼女じゃなくて好きな人が欲しいんだ。」

真剣な眼差しでそう言ってきた

好きな人…?

俺が首を傾げると

「要するに,あいつは恋をしたいらしいんだよ。本気(マジ)な恋をな…」

マコトはどこか遠くを見つめるようなまなざしでそう口を開いた。