この想いがキミに届きますように

〜悲劇〜


…これはもう、何年も前の事…。



『いいですか、桜さん。これからお会いになるお方は、大企業の社長様です。失敗は許されませんよ…』

『はい、お母様…』


俺の母親はここらじゃ伝統のある家で育った、いらゆるお嬢様…。
二十歳になったと同時にある金持ちのとこの男との縁談が決まった。

『失礼致します。小谷でございます…』


『どうぞお入り下さい。』


『…はい』


何に対しても冷めていた母親は知らない男と会うのも抵抗がなかったという。

ましてや…



結婚する事さえも…。