+  +  +




「おーい、木ノ下さん」




名前を呼ばれてはっと、した。




「あっ、はい、な、何ですか」




声が発せられた方に目を向けると、呉夜さんがいた。





さっきまで本を棚に返す作業をしていた彼は、もうその作業が終わったのか、私が座っている長机の反対側に座っており、こちらを見ていた。





彼の背後にある、図書館の大きな窓。




外には枯れ葉がくるくると舞っていて、




あの、ジリジリと暑い



あの、彼と出会った夏の記憶から、急に現実に引き戻された気がした。





「何ですか、じゃないよ。急に黙りこくって、話しかけても反応ないし」