通路の真ん中で動かないで佇む私に、彼はちらりと目線を向けた。 目がばちりと合って、さらに体が固まる。 彼の形のいい唇が開いて、声を発した。 「すいません、通させてもらっていいですか」 少し低く、でも、透き通るような声。 きゅん、なんて変な効果音が私の中のどこかから、体中に鳴り響く。 ああ、もう、なんでだろう。 この人はなんでこんなに私のツボにくるんだろう。