【短編】素直になれなくて[番外編追加]

-トントンッ


「姉貴?」


弟の日向(ひゅうが)だ。


私は、無視した。


私がこうなった原因でもある。


だからだろう。


いち早く気づくんだ。


「無視すんなよ。帰ってんだろ。」


私は、しつこい日向に諦めて部屋を開けた。


「やっぱ、いるじゃん。」


「なに?」


「大和先輩が心配してたから。姉貴の事だろ?」


私と日向は、同じ学校で。


日向は、大和と同じ部活に入ってる。


私と日向が姉弟だとは誰も知らないだろうけど。


はっきり言って似てない。


性格は、大和みたいな感じだ。


優しくて明るくて。


日向もなかなかモテるみたい。


モテるのに彼女をつくらないのが謎だって噂になってた。


「私って、そんなに可愛げないかな?」


弟に聞くことじゃないんだろうけど、今の私には日向にしか聞けない。


「わがままが言えないのが可愛いと思うよ。俺、姉貴みたいな彼女がいいし。」


「はっ?」


私は、動揺してしまった。


「わがまま言えなくなったの。俺のせいだろ?けど、姉貴の場合は、わかりやすいし。大和先輩なら、理解してくれるよ。」


なんてできた弟だろう。


「ありがとう。」


「よし。もう悩まない。明日は、久々に一緒に登校するか?」


「うん。」


私は、元気になった。


日向に元気をもらえたから、明日からまた頑張ろうって思えた。


明日は、大和と愛と宗くんに謝らないと。