さくらんぼ



「隼人・・・ッ」


隼人の名前を呼ぶと

同時に優しくふわっと

隼人の匂いに包まれた。


今までの距離を

取り戻すかの様に、

いつもよりも

隼人の腕に力が入っていた。


隼人の温もりが、

あたしには夢みたいに感じた。


「もう絶対に離さねえ・・・ッ

絶対誰にも渡さねえ・・」


隼人の涙が

あたしの制服のシャツに染み込んできて、

そこだけが妙に生温かかった。

隼人の体温が

身体に伝わってきて、

余計に涙が出た。―