どれくらい続いたのだろう…


唇が離れた時、磨莉亜の息も乱れていた。


乱れた息を治すことなく、羽璃はズルズルと窓づたいに砕け落ちた。


捕まれた腕は、今だに磨莉亜が掴んだままで力なくダラリとしている。


「羽璃…」


磨莉亜はしゃがみこむと羽璃の顎を上げさせる。


ポロポロと声もなく涙を流す羽璃を、磨莉亜は苦しそうに見つめた。


羽璃は、自分が分からなくなっていた。


パシリとして側にいたいわけではない。


でも、パシリとしてしか側にはいられないのだと気づかされてしまった。


どう望んでも、それ以上はないのだと…


「羽利…キスして欲しい?」


残酷な暴君は、私に囁く…


その言葉を私が嫌がるはずはないのだと疑いもしないほどハッキリと…


力なくコクリっと頷いた。


磨莉亜の整った顔が近づいてくるのを、張り裂けそうな気持ちを隠し見ていた。