誰もいない空き教室に走り込み、息切れする体を落ち着かせた。


しばらくして、喋り出したのは桜からだった。


「羽璃!」


ガッと私の肩を掴み、怖い顔で見てくる。


「えっ!?何っ!?」


「綺麗になりなさい!」


はぁ!?


いきなりの言葉に、固まってしまう私。


「ジョーダンじゃないから!」


私の顔にあからさまに書いていたのだろうか。


間髪入れずに桜が言った。


「あんなこと言われて悔しくないの!?」


その言葉に顔を伏せる。


悔しくないはずない…


でも…


「泣くほど悔しいくせに!」


ポロポロと涙が流れていた。


「無理…無理だよ…」


「綺麗になる!あをたは元がいいんだから!」


パンッと頬を両手で挟まれる。


唇がタコのようになっている。


「しゃっしゃくりゃ!?(さっさくら!?)」


「真理亜のバカの世話ばっかしてるから、自分の事忘れちゃうんだよ!?真理亜の事、好きなら綺麗になってみなさい!」


「!?知って…たの…?」


「見てれば分かる!」