周りを見渡すと、さっきの稀癒の叫び声の所為で通行人に怪訝な視線を受けていた。 いつの間にか隣に居た壱貴があたしを覗き込んでいる。 「俺の話を進めた方がいいか、そこに居る彼の質問に応えた方がいいのか、どっち?」 表情は緩んでいるのに、目が真剣で思わず逸らした。 隣の稀癒は放心状態でどこ視てるのか分からない。 先に此方を何とかしなきゃと思って俯きがちに答えた。 「稀癒の方を先にして。」 少し哀しそうな色を写した壱貴の瞳は直ぐに元に戻り、放心状態の稀癒へと向いた。