衣は黒光りして、妖しい。 ずっしりと重たく、懐かしさが漂った。 肩に掛けて、歩き出す。 嘗ての場所へと。 双子が成人したのをきっかけにして、再びギターを手にした。 時々手入れはしていたけれど、軽く奏でては居たけれど。 でも唄わなかった。 再び唄うことは無いと、思っていたから。