次の日。

 「おはよ~はい!これ、『入部届け』」
 「ん?あ、沙雪!おはよ」
 
 朝のHRが始まるまでの時間、ぼーと黒板を眺めていた私の目の前に、『入部届け』と書かれた紙が差し出された。顔を上げると、沙雪がニコニコと笑ってる。

 「おはよ~。それにしても、びっくりしたよ。急に入部したいなんて言うんだもん」
 「あはは…ごめんね、急に」
 「いいけど、それよりあたしが部長だってこと忘れてたなんてちょっと淋しいなぁ」
 「ああ!それは、ホントごめん!!」
 「ま、いいけど。亜紀ちゃんの入部なら大歓迎だよ~」

 と、沙雪はニコっと笑う。
 天使のような笑顔ってこういうのを言うんだろうか。
 沙雪は、かわいい。おっとりした性格で、私が男の子だったら、きっとほっとけないだろうなぁ、と思うようなエンジェルスマイルの女の子だ。
 
 「でも、どうして急に入部する気になったの?」
 「え?あ、いやぁ…」
 「ほら、夏休み前だと、七夕とかの天体観測目当てで短期入部っていうのも多いんだけど…なんか、違う感じだし…」
 「んー…なんていうか、勢い…」
 「勢い?」
  
 いぶかしげな顔で私を覗き込む沙雪。

 「それがさ…」