二人っきりの作業が続き、沙雪がなかなかこないことを先生が不思議がりだした頃、携帯の振動を感じた。
 
 『二人っきりの作業はどう??はかっどてるー?!先生にさりげなくそっちに行ってもらって私は違う作業してます。そう!実は最初から仕組んでいたのだ!な・の・で、そっちに他の部員が行かないようにガンバルからね!仲良く作業してねー♪沙雪でした☆』

 沙雪のメールはそんな内容だった。
 沙雪がくれた、チャンス。
 
 私、言うべきなのかな。
 先生に、伝えるべきなのかな…

 先生を目で追うようになってまだひと月くらいしかたっていないけれど。
 きっと、先生にとっては珍しい時期に入部してきたただの新入部員
 …うぅん、ちょっとは印象に残ってるかなぁ?他の学生とは違う距離で接してくる生徒。
 気が付けばいつも声をかけてくる、女子生徒。

 …生徒。
 先生にとって、私は……生徒。