やくざな主人と生意気ペット

 
翌日のテレビには、昨晩会った時と変わらぬ藤本が映っていた。
残念なのは出ていたのが音楽番組ではなくニュース番組という点だ。

俺もアキラも予想していなかった。
ドラッグを辞めるよう説得した結果、藤本はその後自首したのだ。

しかし藤本があまり有名ではないせいか、有名政治家の自殺のニュースが大きく取り上げられたせいか、大きなニュースにはならなかった。
新聞にも小さい記事にまとめられただけだった。



「辞めちゃうのかな」

テレビを見ながら呟くこはる。


「仕方ないだろ」

「ですよね」


原因は少なからず俺とアキラにあるので、何とも言えない。

沈黙を破ったインターホン。
滅多に鳴ることはないので少し焦る。

モニターを見ると郵便局員だったので出ることにした。


「速達です」


受け取った荷物には差出人の記載がない。
だが大体見当はつく。


「こはる、お前にだ」

「え?」


あいつに住所を教えたとはいえ、まさか本当にやってくれるとはな。


包みを開けたこはるが驚く。
そしてすぐに微笑む。


藤本の創った最後の新曲は、世界でたった一人、こはるにだけ届けられた。

そして俺は今回の件で、ガキっぽい大人も苦手だとわかった。