魚群が出たにも拘わらず、外れると、暫く当たりそうにない。
この台は駄目だと、他の台を物色しに行った。
違う筋に行った時、佐々木の背中が見えた。
驚かそうと、そ~っと後ろまで行ってみた。
佐々木はハンドル持たずに、携帯持ちメールしている?
私が後ろにいるのも気付く事なく、携帯に集中していた。
ドル箱は積まれていなかった。
横の台が空いていたので、私はそっと座った。
その時初めて、私の存在に佐々木は気付いた。
驚き慌て、メール打っている最中だったのに、思わず佐々木は携帯を閉じた……。
変な…嫌な空気が流れた。
耳に聞こえてくるのは、うるさい音楽と銀玉の弾ける音……。
二人は無言でハンドル握り…勝ち負けの世界へ……同じ姿勢で、同じ行動とりながら…思いは別々の道に分かれた……。
この日の収支、二人とも何回かは出たものの、マイナスに終わってしまった。
私はどれだけ勝ったところで、パチンコ屋入場するのに、佐々木に渡す軍資金として、最低3万円はかかる。
恋には…苦しさ、切なさが付着している事…この頃徐々にわかってきた。
この日は…夢の国に連れて行ってくれた。



