来る来る廻る



「岡田さん、店では俺達、何もないように、ばれないように振る舞おうって約束だったじゃないっすか?こんな事もしばれたら、俺、えらい目に合うんですよ」

「それにしたって、他の女にはベタベタ引っ付いて…私に意地悪してるとしか考えられないわ」


「ちょっと勘弁して下さいよ、ベタベタって言うけど、それも仕事の内でしょ?俺の気持ちは……岡田さんだけだって…岡田さんが一番知ってくれていると思ってたんだけど……」

こんな気持ちの悪い女にさえも、俺は平気で嘘がつけた。

普通の狸から立派な狸へ昇格さ……。

おかめはバックから封筒取り出し、俺の前に差し出した。

少々厚め、ざっと50万ぐらいの厚みだな。

俺は無言でさっと受け取り、胸ポケットに忍ばせた。

仕事終わりたての疲れきった体に、ビジネスエッチはかなりきついものがある。

他の女ならまだしも、おかめの存在は、金を抜きにしたら…心身共に、俺にとっては毒だった。

それでも、俺は毒を食べる。

この毒は、狸の餌の糧となるから……。