来る来る廻る



  初めての指名。

だが、これは喜べない指名だった。

皆の視線…特に矢崎や、ナンバー1直也のカミソリの様な視線が痛い。

次の日も、その次の日も…青山ひろみは、自分の席に俺を縛りつけた。

日が経つに連れ、針のむしろ状態にも、俺は慣れっこになっていった。

何が仁義だよ! 古臭い事ばっか言ってるから、俺様に客取られるんだよ!

悔しかったら、実力で取り返してみろ、ばぁか!

開き直りも覚え、俺は、自信と言うアイテムも身に付けていった。

そして…口説かれるままに…青山ひろみと寝た。

イチゲンの中から、小物の客数人も掴まえる事が出来たし、勤めて僅か2ヶ月で、グラフ上、俺は5本の指に入る所まで上り詰めた。


今までのエッチは遊び半分…欲情に任せた遊びの世界だった。

それは素人の世界。

が、今は違う…エッチは生活の糧、商売道具、戦闘武器となってしまった。

必要とならば、必ずする。

それがいつ、どんな時でも、誰とでも、時と相手は、自分の好みでは選べない。

どうせ俺は、狸の穴から生まれた狸さ…狸が住むにふさわしい場所を見つけただけさ…。