来る来る廻る



矢崎が言うには、俺の客の連れて来た友達を狙えと…若しくは、イチゲンの客を拾うか…後残るは、路上キャッチだとさ…。

くそ面白くねぇ…こじきみたいに、路上で客乞いなんて…それに、ナンパされる事はあっても、俺様が女をナンパするなんて、考えられないし、俺の性に合いそうにもねぇ…。

イチゲンの席なんて、なかなか新人には回ってこねぇし、こんなに美味しい女がごろごろしてるってぇのに、手を出せないなんて、まるで犬のお預け状態だ。

そんなある夜の事だった。

俺がトイレから出て来ると、女子トイレからも出て来た女がいた。

ナンバー1が担当している、社長令嬢、青山ひろみ……。

彼女と目が合った。

と、俺に近付いて来た。
  な、何だよ?

「仁君っていうんでしょ?」

「はぁ…」

「明日から、私の担当になってくれない?」

「えっ…それは、まずいっすよ」

「大丈夫よ。私、直也の我が儘には、もう、うんざりしてたんだ。今日、オーナーに交渉するわ。父とオーナーは仲いいから、私の場合のみ、指名替えなんて簡単な事よ。誰も逆らえないわ」

「はぁ……」