来る来る廻る



ホスト……興味はあった。

簡単に出来そうな気もした。

ただ、知り合いがいなかったのと、そうゆう機会がなかっただけの事さ……。

今度は、女にモテてなんぼの世界。

車売るより百倍も容易い。

いくら、女から金を引くかが勝負。

ホステスの男版…要はお袋と同じ職種だ。

  蛙の子は蛙。

  いいや、違う。

同じ職種であっても、鳶が鷹を生んだ…がふさわしい。

岡野誠も、勤めて3日しか経っていないらしい。

マスクのレベルから言えば、誠は並の並、一人では心細く、強いて女にはモテるタイプではないのに、金欲しさから飛び込んだ。

誰か、いい男を紹介しなければ辞めてもらうとオーナーに言われ、慌てて俺の所にやって来た訳だ。


体験入店の日、オーナーが言うには…俺の本名がいい、別に源氏名つける必要もないらしい…ので、そのままの名前でいく事にした。

クラブ「ドラマチック」に、佐々木 仁(じん)が誕生した。


豪華なオールボックスの店内には、ビジュアル的にかなりイケテる面々が20数名いた。

パッと見は少々気後れしたが、よくよく見ると、たかが知れている。