他の社員が、ゆっくりでも成績を伸ばしていく中、パチンコ浸けの俺に、車なんて売れる筈がなかった。
そんな時、事務員とデートしている所を、営業の女に目撃された。
そろそろ二人とも、潮時かなぁっと、思っている矢先の事だった。
二股に頭にきた女は、事務員とのオフィスラブに、パチンコ通いまでをも、所長に言いやがって…俺は呆気なく首になった。
ジジイの顔に泥を塗ったと、お袋が閻魔大王の顔をして飛んで来た。
「お前のお陰で身の縮む思いだよ!私がどれだけ責められているのか、わかってんのか!もうお前とは、親子でも何でもない。困ったからって、母さんに言ってきても無駄だよ。自分で仕事探して、自分の口ぐらい自分で養っていけ!」
お袋は出て行った。
金は、降って湧いてくる物?
湧いてはこなくなった。
この頃はパチンコも負け続きで、さっぱりだ。
都合の良かった女も、皆それぞれに忙しく、俺と言う資本の会社もだんだん不景気になってきた。
そんな時、連れの岡野誠が、仕事の話を持って来た。
俺にぴったりの仕事があるらしい。
ホスト……テレビのドキュメント物で、いつか見た事があった。



