一通りの仕事を学び、いざ一人立ちが始まった。
要は、車を売ってなんぼの世界。
入社半月目で、車が一台売れた。
俺様一番のお客は…母を召し取ったあのジジイだった。
正確に言うならば、召し取られたのは、ジジイの方かも知れない。
が、案外あのジジイはいい奴だ…平穏無事に卒業出来たのも、あいつのお陰だし…お袋よ、大の時がミシン目三本だろうと、それぐらいの事我慢しろよ。
会社で一番可愛いい事務員と、やってしまった。
営業の女社員とも出来た。
二人は互いに、自分だけだと思っている。
事務員は幼くやりやすかったが、この営業の女ときたら、なかなかのやり手ババア…歳上だし気がきつい。
この女に手を出した事が、そもそもの失敗だった。
車はジジイに売って以来、それから一台も売れなかった。
営業にあくせく歩き回ったところで、どこに車なんて買う奴がいるんだよ!
毎日毎日、出社してミーティング聞いて、営業回って…いい加減馬鹿らしくなってきた。
営業回っている振りをして、俺はパチンコ屋に通うようになった。
来る日も来る日も、俺は営業スタイルで、パチンコ屋に浸かっていた。



