来る来る廻る


あわてて、お袋に電話した。

「お袋~今月まだ入ってないじゃん!どうなってんの?」

「何言ってんだよ! 振り込みは卒業するまでって、約束だろ?」

「…お袋~取り敢えずさぁ、俺、全然、金なくて、何とかしてくれよ~」


久しぶりに、お袋が家に帰って来た。

弁当屋の幕の内二つと、現金の入った薄い茶封筒を持って…体は相も変わらずコロコロと肥えていた。

お袋が愚痴をこぼす。

「聞いてよ、あのジジイったら、どれだけケチ臭いか…おかず代、レシート見せた金額、一円までもきっちりとした金しかくれないんだよ。節約、節約って、片っ端から電気消して…トイレットペーパーだって、大の時は、ミシン目三本目、小の時はミシン目二本目って決まってんだよ!それも、私が出た後でチェックしてんのさ」

俺は、思わず噴き出した。

金持ちほどケチ臭いって言うが、あまりにもそのまま過ぎて、お袋も前途多難なんだ。

俺は、慰めるしかなかった。

「お袋~ジジイくたばるまでの辛抱だよ。財産さえ入ったら、後は安泰じゃん!」

「あいつのくたばるのが早いか遅いか、私の辛抱がどこまで続くか、こりゃ長期戦になりそうだよ」