来る来る廻る

三流の私立大学に辛うじて合格した。

別にこれと言ってしたい事があった訳でもなく、四年間遊ぶ為の、お袋に対しての名目だった。

付き合う女は、ころころ変わった。

一夜で終わる女もいれば、飽きるまでに二、三十回かかる女もいた。

二股、三股は常習犯で、俺って、もしかして、大奥、殿様の生まれ変わり? と思えるくらい、女には不自由しなかった。

大学へ通い出し、暫くした頃、お袋から衝撃的な告白を受けた。

店もやめて、家を出て、嫁に行くと言い出しやがった。

思わず耳を疑った。

 お前は、俺の娘か?
  母親だろう?

それに、そんな歳になってから、今更、嫁?結婚?

ちょっと勘弁してくれよ~

冗談は顔だけにしてくれ~

が……お袋の意思は固かった。

お相手は、最近頻繁に来るようになった客の一人だった。

白髪初老の画家…このジジイの知名度はよく知らないが、よく個展を開いていて、つい最近も、お袋はそこへ出かけていた。

お袋が言うには、水商売なんて、そう長くは続けられない、もう体力的にも年齢的にも限界だそうだ。