私は、姉の顔を覗き伺った。
その時!子供ながらに息が止まった。
姉の頬は紫色になり、目は寝ているかのように赤く腫れ上がり…あの姉のぱっちりとした大きな目が無くなってる。
顔が!顔が違う!
まるで別人のようだった。
後退りした私に、姉は無表情…無言のまま、細くなった目で本を読んでいた。
何で? 一緒にケガした?
そんな筈はない…だって、私がジャングルジムから落ちた時、姉は下にいたもの…。
「亜紀ちゃん~危ないから降りて来なさい、もう暗くなるから、帰るわよ」
その姉の言葉を最後に、私は足を滑らせ、鉄を握っていた指が離れ、真っ逆さまに落ちてしまったんだ。
それからの記憶はなかった。
だから、一緒に落ちた訳でもないのに…姉は何でこんなに顔が腫れているの?
不思議だった……。
「お姉ちゃん、その目どうしたの?」
姉の視線は本だった。
何も話してくれず…こっちを見ようともしなかった。
その日を境に…姉の引きこもりが始まった。
相変わらず父の帰りは遅く…朝帰りもしょっちゅうで…私は、母と二人だけで食事する日が続いた。
姉は…母の作った御膳を部屋で食べていた。



