そして、たまに私宛てへの、洋服や靴、おもちゃなどが入っていて、その時はたまらなく嬉しくて、父コースターから開放された私は、直ぐに、紙袋の中身点検にとりかかった。

飛び上がるほどに嬉しい時と、あぁあ~とがっくりする時もあったけれど、父は、深夜遅くまで遊び相手になってくれる。

残念な気持ちも束の間に吹っ飛ぶぐらい、父と過ごす時間が楽しかった。

眠くなる目をこすり、1分1秒でも、父と遊んでいたかったのに、母はいつも、早く寝なさいと私に促した。

今から思えば、それは当然の事…。

なぜなら、週末にしか会えない母も、早く父コースターに乗りたかったのだろう。

雛人形も父が買ってきた。ガラスケースに入れられた御内裏様と御雛様…。

これが良くなかった。

友達の家で見た階段状の雛人形は、節句が来る度に、押し入れから出してきて飾り付け、また丁寧に広告紙などで包み、人形は押し入れへと帰って行く。

その一般的な雛人形の楽しみ方と、家は違っていた。

ケースに入れられた二体は、年中フル活動、茶箪笥の上に置かれっぱなし、家は365日が雛祭りだった。