吉田ひなこ、31歳、未だ独身、処女という重いオマケ付き…恋人もいない、友達もいない、両親もいない、兄弟もいない、私にあったのは、たった一つ…………。
お金だけは持っていた……。
贅沢と言えば、年二回の旅行ぐらい、後は美味しい物を食べるくらいだった。
家と仕事の往復メガトンには、世間一般のおしゃれ費用など、全く必要としなかった。
給料とボーナスは、必要生活費以外、母は全て貯金してくれていた。
母の死亡保険金も入り、墓もたてたが、まだ銀行や郵便局にはざっと合計して5千万ほど蓄えがあった。
通帳に印字された数字…私にとっては、ただの数字…無意味な数字…。
こんな数字だけが残ったところで、ネコに小判…ブタに真珠…。
欲しい物なんてない…したい事もない…お金の使い方もわからない…。
仕事は、無理を言って、一ヶ月の休暇を貰っていた。
本社から代理店長が来ているらしい。
初七日が過ぎ…母の荷物を整理する。
捨てる事なんて出来ない…。
紙の組み立て式収納ボックスを買ってきて詰めた。
押し入れに納めていく。
その時、ふと考えた。



