来る来る廻る



  この裏切り方…。

  この結末……。

私を一人にして、どこへ行くのよ!

ベッドの中のあなたに、文句が言いたい。

詰って責めて意見して…言えるものなら、言えるものなら…。

体のあらゆる所に付けられたカテーテル……母が、苦しさに悶えた。

誰か、誰か止めて……。

危篤……心電図グラフがどんどん…どんどん低くなっていく。

お母さん~行かないで~お願い~

心電図グラフは心を持たない、冷たい機械……。

グラフの線はやがて真っ直ぐに……。

冷たい機械が、母の死を告げた…。

止める人はどこにもいなかった。

入院して3ヶ月、一度も退院する事なく、母は駆け足で、父のもとへと行った。

恋しい男のもとへ、従順な子供を置き去りに、母は去って行った。

お母さん…あなたは最後の最後まで身勝手な人だったね。

田舎にいる僅かな親戚を呼び、静かな葬儀をあげた。

吉田の国…たまに入国してくるサンタは消え、人口二人の内、一人も消えた。

残るはただ一人。

たった一人残された。