来る来る廻る

リウマチにかかりきりだった、二人の大きな大きな落とし穴だった。

レーザー光線を使っての内視鏡治療や、抗がん剤も試みたが、苦しみを与えるだけで、効果はゼロに等しかった……。

仕事は休む事ままならず、私は家と病院とファミレスを行ったり来たり、小さな三角形をくるくる回る。

  母が苦しがる。

  母が痛がる。

だんだん小さくなっていく……。

だんだん弱くなっていく……。

だんだん人間離れしていく……。

病魔が…親子を引き裂こうとしている……。

誰か…誰か…止めて…止めてくれる人はいないの?

私は、母の人生の巻き添え……。

母は、私の手綱を握り、自由を奪ってきた。

檻に閉じ込め、餌だけ与え続け、他には何も許さなかった。

 このエゴイズム!

あなたは父に恋したくせに、私には…恋心はふしだらな感情だと植え付けた。

それでも、従ってきたじゃない!

あなたの言う通りに、生きてきたじゃない!

したい事も我慢して、友達もつくらず…お母さんが可哀想だったから、お母さんが…お母さんが大好きだったから…ずっと側にいたじゃない!

それなのに…それなのに…何で?