来る来る廻る


これを機に、母と名付けられた檻の鉄格子は、ますます太くなっていく。

が…それが細かろうが太かろうが、家とファミレスを往復するペットには、大した問題ではなかった。

メガトンは、単調な日々を送った。

そぅ、第二の悲しみがやってくる日までは、単純な時間が流れていった。

父の死の悲しみを、なかなか乗り越えられない母は、食欲不振になり、日毎に体重が落ちていった。

今まで、関節の痛みを執拗にも訴えていたのにも拘わらず、言葉少なになり、眉間に皺を寄せるだけで…身に来る痛みを内面に押し殺すかのように見えた。

体調のいい日には、ゆっくりこなしていた家事さえも、全く無気力になり、布団から出なくなってしまった。

そんな日々が続いていた時、気持ちが悪いと、母はトイレに走った。

心配で私が見に行ったら……そこで見た物は、真っ赤に染まった便器…吐血…大量の赤い水………。

慌てて、救急車を呼び乗り込んだ。

検査結果…胃ガン…嘘でしょ?

私は、耳を疑った。

大腸、膵臓、十二指腸、横隔膜…広範囲に渡り、転移していると言われた。

もう摘出なんて不可能…簡単に言えば、手後れ…。