昔の記憶が鮮明に蘇る。
お袋のあの夜叉の目……むき出しになった男の尻……。
♪飲んで、飲んで、飲んで~♪ どこか他の席から聞こえてくる、イッキ飲みのコールが………。
誰か、誰か…助けてくれ~ここから、俺を救ってくれよ~
ボーイに引っ張られ、クラブママの席に戻された。
3人のホステスは、ホスト達と盛り上がっていた。
アイスペールにブランデー注ぎ、それを誰がイッキ飲みするかでジャンケンしていた。
「あっ、仁、戻ってきたの~」
「嫌われたんだぁ~」
「出戻りじゃん!」
俺はいきなり、そのアイスペールを両手で持ち、ブランデーロックをゴクリゴクリと飲み干した。
アルコールで消したかった…さっきの場面を…クリアにしたかった。
「仁、凄いじゃん!」
とホステスの一人が悪のりして、またブランデーをペールに注いだ。
「仁のいいとこ見てみたい、イッキ!イッキ!イッキ!」
皆にあおられ、俺はまた飲み干した。
頭がクラクラ…何が何だかわからなくなり、胃から液体が込み上げてきた。
そして、ママさんの着物にゲロを……浴びせてしまった。



