●鈴木梨花●

隣の区に、また新しいキャバクラがオープンするみたい。

前の店で知り合ったキャバ嬢から連絡があり、誘われた。

  えぇぇ~嘘ぉ~

時給が、今の店と比べたら倍近く違うらしい。

私の答えは即答だった。

「行く、行く!私もそっちに行くわ!でもね、もうすぐ締め切り日なのよね。それまでここに居て、それから直ぐにやめるわ。この店の客って、本当にケチ臭くて、やってらんない、ちょうどよかったわ」

私はお金がいる。

翔と繋がっていくには、お金がなきゃ始まらない。
条件のいい店がある度、私は飛びついてきた。

店変わる事に、携帯番号も変えてきた。

何で?って、金を騙し借りしている客と縁を切る為……。

今回も、給料日に少しずつ返していくわね…と約束した客が数人…早く行方不明にならなくっちゃ……。

締め切り日がきた。

この店での最終日だった。

同伴ノルマ…ギリギリ最後に佐々木で締めくくり…何とかクリア出来そう…佐々木からの返信メールがきた時はホッとした。

いつもの居酒屋…場所なんてどこでもいい、好きでもない男となんて…別に、オシャレな店に行きたいなんて思わない。