私にしては珍しく、うつむきながら家に向かって歩いていた。 「…かの~、…こかの~」 ふいに人の声が聞こえた気がして、立ち止まった。 「気のせいかな…」 私はまた歩きだした。 「どこかの~、どこにいったかの~」 やっぱり、気のせいなんかじゃない…。 おじいさんが困っているような声だ。