梨紗が隆司を異性として意識してるのなんて、ずっと前から知ってた。保育園から小中高と、僕含め3人はずっと一緒だったから。

だから隆司がカノジョを作るなんて言い出した時は思わず 嘘だろ、なんて言っ取り合わなかったんだ。


隆司が梨紗のことを特別視していることも、僕は知っているから。


「カノジョになる子が可哀相だって。やめときなよ。」

図書館で借りた小説のページをめくりながら、僕はスタバの珈琲を啜る。隆司は苦虫をかみつぶしたみたいに表情を歪めた。

「猛、おまえだって知ってんだろ?あいつが嫌がらせ受けてんの。」

「あー、あれのこと?全部未遂に終わってるんだからいんじゃない。」

梨紗本人はイジメとか嫌がらせとかって認識してないみたいだし。

本を閉じてテーブルにおいて、紙コップを両手で包み込む。ホットのブラックはまだ僕の指を温めてくれた。脳の海馬が3日前の出来事を引き出してくる。