4年目の贈りもの[短編]



「バカ…

優しすぎるんだよ…バカあ…っ!」




たった数時間前の、陵の声を思い出す。




『――ねえ、綺。
俺のこと…好き?』


『い…っ、言えないよそんなこと!』




どうしてあの時、素直に「好きだよ」って言わなかったんだろう。

どうして「大好きだよ」って…



「愛してるよ」って、言わなかったんだろう…?




「ねえ…陵。

あたし、陵のこと好きだよ…
大好きだよ…愛してるよ…?


さっき、言えなくてごめんね…


愛してるよ…陵のこと、愛してるよ…っ」




届くはずのない想い。

どんなに伝えたくても、どんなに叫んでも。


今さら伝えても、届かない想い。




「陵…陵…りょう!」




もう二度と、伝えられない想い。