4年目の贈りもの[短編]



***


「りょ…う…」




ふと、目を覚ますと。




『綺ちゃん…大丈夫?』




視界に映る、真っ白な天井とカーテン。

声が聞こえた方に、視線を向ける。




『良かった、気がついて…』




そう言ったのは。

陵の、お母さん。

隣には、和也くんが立っている。


陵がいないのは、現実なんだと。




「…っ、」




そう、思い知らされた気がした。




『…綺ちゃん』




陵のお母さんのその声に、あたしは伏せていた顔を上げた。

泣き腫らした真っ赤な目で、陵のお母さんはあたしを見つめて口を開いた。




『綺ちゃん、陵に…

最後に、…陵に会って欲しいの』




小さく、震えたその声に。
あたしは頷き、ゆっくりとベッドから起き上がった。