運命の弄び

「バイト先?
……って駄菓子屋のバイト?」

「そう、それそれ」

真希の言葉に頷く。

……高校に上がるのと同時に俺は駄菓子屋のバイトを始めた。
駅前に至る俺たちの通学路の中間にある駄菓子屋で、
ちょっとした歴史を持つ老舗の駄菓子屋だ。

店主のおばあちゃんとその娘によって運営されていた小さな駄菓子屋ではあるが、
結構感じのいい店で、
常連も多く、
俺や真希も昔はよく菓子を買いに行ったものだ。


二年前、
おばあちゃんが身体の事情もあって娘に店を譲り、
人手を募集していたところ、
俺がバイトとして入ったわけだ。

「やっべー、
四時に約束してたんだったっ。
遅れたら薺さんに怒られるっ」

薺(なずな)さんとは現店主のおばあちゃんの娘のことだ。
時計を見ながら慌てる。

「わりぃ、真希、もっちー、まゆ。
俺、先に行くわ」

「おっけーっ。
早く行きなよ」

「ばいばーい、れーちゃんっ」

「また明日ね、瑞沢くん」

快く返事を返してくれた三人より先に俺は学校の校舎を出た。