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……真希と歩く通学路。

俺達の住む町内から近くに住む社会人の足となる駅前まで大体十分ぐらい、
俺たちの通う私立白凌(はくりょう)高校へは、
そこから更に歩いて十分ほどの距離だ。
二人で世間話をしながら歩いていればあっという間に着いてしまう距離で、
おかげさまで予鈴が八時半であるものの、
八時過ぎに家を出ても十分間に合うのだ。

俺と真希はもはや見慣れすぎて飽きてるぐらいのこの通学路を、
こうしていつものんびりと歩いているわけだ。

……その見慣れた光景の中、
何故か俺は妙に緊張していた。

「……どうしたの?零二」

「えっ?」

「さっきからあたしの顔じぃ~っと見ちゃってさ。
あたしの顔になんか付いてる?」

「い、いや……っ
なんでもない、気にするな」

「ふ~ん? 変なの」

真希に言われて思わず少し狼狽したかのような態度を見せる。
言われるまで気付かなかったが、
ぼーっとしているつもりで真希の顔をじっと見つめていたらしい。