「んなわけないでしょっ、
バカ零二っ!」

「解ったからいちいち暴力で訴えないで……とほほ」

これで既に三発。
復帰初日だってのに頭をかち割る気か、コイツは……。

「でも……っ」

「?」

真希に平伏すようにして頭を抱えて悶えている俺に、目線を合わせるようにしてしゃがむ真希。
今まで眉を吊り上げていた真希が、
急に穏やかな顔で俺をじっと見据えてくる。

「零二が元気そうで……良かった」

「うっ……」

にっこりと、
目を細める真希。
あまり見たことの無い真希のその表情に思わず心臓がどきりと高鳴った。

「さ、早く行こっ♪
遅刻しちゃうわよ?」

「あ……ああ。」

颯爽と立ち上がって、
ミニスカートと真希のトレードマークのポニーテールを翻しながら、
真希は先に家の外へと出ていった。
俺は弱々しく返事を返しながらその背中を追った。