運命の弄び

「……いぃいかぁあらぁ……、
あたしが笑ってるうちに顔を貸しなさいねぇえ?」

真希は顔こそ笑ってはいるが、
額の血管がぴしっ!と浮き出ているのがこちらからも伺える。
なんだ、違うのか……。
まぁ冗談だけど。

「何だよ、何する気……」

……と、
無造作に真希の言う通り顔を近づけた俺。

ばきぃぃいっ!

「ぐへぇっ!?」

そんな俺に待っていたのは万力のようなグリップ、
しなやかで無駄のない、
そしてご丁寧に最後は捻りも加えるという、
真希必殺の殺人パンチだった。
頬から顎、
そして顎から頭蓋骨全体に衝撃が伝わり、
脳がシェイクされる。

一瞬、
身体が浮いたような錯覚に襲われるが、
ギリギリで感覚を取り戻し、
ふらついた身体を踏み止まらせた。
相変わらず男顔負けの拳だぜ。

「ってぇーなぁあっ!
何しやがんだっ!」

さすがの俺も頭に血が上った。
殴られた頬を押さえながら真希に怒号を浴びせる。

「ふん、当然よっ!
女の子のスカートの中を覗くなんてサイテーねっ!」