運命の弄び

真希のやつ、
また大いに血圧が上がったことだろう。

真希は俺、という片割れをもったがために、
将来的にいつか本当に脳の血管をぶち切らすに違いない。
あのぐらいで怒る様では修業が足りないな、真希よ。

……そんな勝手な事を考えていると、
後ろから『後で覚えてなさいよっっ!』などと言う声が聞こえたような気がするが、
まぁ、幻聴ということにしておこう。
……ちなみに『色』は……、
本人の名誉と尊厳を護る意味で公開はしない。
お好きなようにご想像を。

……居間ではすっかりご飯を食べ終えたサラが、
おすわりをしてじっと俺を見つめていた。
そんなサラの頭を一撫でしてやってから、
座敷へと入った。


…和室とも言うべきその座敷には黒壇があり、
そこに家族の位牌が安置されている。
俺は黒壇を前にして正座の姿勢で座した。
黒壇の中には亡き両親の心なしか色褪せた二枚の写真、
そして……、
ほんの少し前までは確かに俺の側で見せてくれていた微笑み……。
サラと寄り添いながら今でもその中で笑顔を向け続けてくれている姉さんの姿。