運命の弄び

「……真希?」

「ほえ?」

私のお皿に用意された二切れのパン、
その二切れ目のパンにかじりついたところでお母さんが私を思慮深げな表情で私を呼んだ。
かじりついたまま間の抜けたような返事を返す。

「今日から零ちゃん、学校に復帰するんでしょ?」

「…あっ、うん。」

「よかったわね。
あれからまだ一週間しか経ってないけど……、
学校に復帰できるならお母さんも少し安心したわ。」

「……うん、そうだね。」

お母さんがその話題を始めると自然に食事の手が止まった。
お父さんも神妙な面持ちでお母さんの言葉に静かに頷いていた。

「真希」

「ん?」

次に口を開いたのはお父さん。
私を叱るときのように真剣な表情だ。

「……学校に復帰するとは言っても、
まだ心の傷が完全に癒えたわけではないだろう。
零二君の昔馴染みとして、出来るだけ心のケアをしてあげなさい。」

「うん……、
わかってるよ、お父さん」

言わなくても娘は解ってるってことは、
お父さんも知っている。
そのうえであえてお父さんは口にしたのだ。