ああ、あのな……』

「うんうん」

『その……なんだ』

「何よ、はっきりしないわねぇ。
あたしこれから寝るところなんだから早く用件言いなさいよっ」

この季節の夜は寒い。
こうしてるだけでもどんどん身体が冷えてく。
これから寝るってんだからエアコン付ける気もしない。
歯切れ悪い幼なじみに悪態つくも、
本当は用件が気になって私が早く聞きたいだけだ。

『ん、すまん……。
実は明日から学校へ復帰しようと思ってる』

「えっ、本当にっ?」

『ああ、心配かけたな』

「そっか……、
もう、大丈夫なの?」

『うん。
もう大丈夫だよ』

寒くなって来たので、
私は自然とベッドの傍らに置いてあるトドのぬいぐるみを抱きしめながら、
待ちに待ったその言葉を聞いていた。
態度にこそ示さなかったけど、
心は喜々としながら。