運命の弄び

『……今日はここまでね。
時間が来たわ。
あなたが現実世界へ目覚める時間がね』

「……時間?」

そこまで話すとミューズは指と指でぱちんっ、と音を鳴らした。
するとそれを境に急激に意識がぼやけ始める。
視界が白くなり、
ミューズの声が遠くなる。

『……千歳真希。
また会いましょう……』

「ミュー……ズ……」

それを最後に私は意識を失った。
まるでその空間から跡形もなく消え去るように。
最初から何もなかったかのように……消失した。