運命の弄び

馴染みあるその名前に驚きを隠せない私。

『そして……霧島香澄』

「か……すみ……?」

それは初めて聞く名前だった。
名字はどこかで聞いたような気がする。

『ふふふ……、
恋の宿敵とも言える相手の名前も知らないなんて呆れたものね』

「……宿敵?」

『今、上げた三人は確実にあなたと同じ人に好意を持っている。
そしてあなたと違って自分に振り向いてもらえるよう努力を欠かしてないわ』

淡々と語るミューズを見上げたまま、
私は黙って聞きつつも、
心中では大きく動揺を見せていた。
千鶴ちゃんが昔からあいつを兄のように慕っているのは知っている。
もっちーが少なからず馬が合って仲が良いのも……。

でも、それはあくまで親しい程度の好意であって、
恋愛対象としてあいつを見てるなんて……正直気付かなかった。

そして私ですら知らない香澄という女性。
好意を持ってるとするなら、
もう既にいくらか親しい仲なのかもしれない。